映画『ヤッターマン』感想

 


全体的な感想

良い意味で馬鹿映画です。ただし、完全に馬鹿に染まりきっていません。7割馬鹿の3割真面目、といった比率のストーリーでした。この3割の真面目部分が曲者で、いわゆる恋愛要素なのですが、ドロンジョとガンちゃんとアイちゃんの三角関係までは良いとして、もう一人のサブヒロインまで無理に絡める必要はなかったと思います。ラブコメ要素を削って、もう一体ドロンボーメカを登場させていれば完璧でした。それと、全て解決せずに投げっぱなしのままストーリーが終わってしまうので、その点もマイナスでした。

 

メカ戦

実写ならではの演出も多く、CGを駆使してのメカ戦は非常に見応えがありました。CGと実写の組み合わせも素晴らしく、メカの攻撃から逃げるヤッターマンの緊迫感がひしひしと伝わってきました。お馴染みゾロメカもアニメで見るよりも数倍迫力があり、これだけでも見る価値が十分にあります。

 

ヤッターマン

旧作の性格そのままだったと思います。アクションシーンも問題なく、ケンダマジックやシビレステッキの性能を十分に活かした戦いになってました。ただ、アイちゃんがサブヒロインとキャラ的に被っている部分があり、あまり目立っていなかったように感じました。

 

三悪

当初実写映画化の話を聞いた時は、原作の雰囲気を映画で再現できるのか不安で不安で仕方なかったのですが、ここまでマッチした配役になっているとは思いませんでした。本物の一万円札が千枚も舞い落ちる中、天才ドロンボーを歌いながら踊る姿は必見です。

個別にキャラを見ていきますと、まずドロンジョ役の深田恭子さんですが、妖艶な悪女のイメージにぴったりの演技を披露していました。お色気シーンも満載で、ボヤッキーのセクハラにもしっかり暴力で応酬と、原作の雰囲気を守っていました。ガンちゃんとのラブコメも必見です。次にボヤッキー役の生瀬勝久さんですが、原作をよくご存知だったようで、原作のボヤッキーのイメージを崩すことのない見事な演技でした。『ああ、ボヤッキーって実写だとこうなるんだ……』と納得できました。実写としては完璧です。ドロンジョ様に対する淡い恋心と露骨なセクハラ、二律背反な性格を実写でここまで再現できるとは驚きです。トンズラー役のケンドーコバヤシさんも良い味出してましたが、原作のトンズラーとは若干性格が違っており、ドロンジョを慕ってはいるが恋心は見せず、一歩引いた立場で接しているように感じました。とはいえ、体を張っての肉弾戦やインチキ商売での胡散臭さなど、実写トンズラーの真髄をこれでもかと見せてくれました。

 

音楽

山本節が実写とマッチしていて、まことに素晴らしかったです。劇中では、ヤッターマンの歌とドロンボーの歌とヤッターキングの歌が、それぞれ2番まで流れていました。またラストの方で、さんあく18年のアレンジが使用されていたのを確認しました。

 

 

 

 

 

< ここより下、映画のネタばれ有りの感想となりますので、まだ映画を見ていない方はご注意ください >

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ストーリーに関して

全体的に良くできていると思いますが、上で書いたようにストーリーが謎を残したまま投げっ放しで終わってしまったように感じました。ドクロストーンの影響で色々なものが消えるという設定は理解できます。しかし、カレンダーの中から火曜日だけ消えたり、遊園地の乗り物が消えたり、富士山が消えたり、オモッチャマまで消えたりと、関連性が全く分かりません。また、最後にオモッチャマが壁の穴から出てきましたが、あの穴の向こうに消えた物が集まっていたとすると、オモッチャマ以外は元に戻れないまま穴が塞がってしまったことになります。せめて消えた物が復元していくシーンがあれば大団円になっていたのですが……。

また、旧作アニメ版以上に下品なシーンが多く、ガンちゃんがアイちゃんを押しのけてサブヒロインの太ももに吸い付いたり、ワンが身悶えるバージンローダーを見て鼻血を垂らしながら突っ込んでいってキスしたり、ジャンボパチンコのパが消えたりと、新ヤッターマンどころか旧ヤッターマンでもやらなかった過激なネタが多かったです。でもまさか、あのままワンが爆発するとは思わなかったので、あまりの展開にしばし呆然としました。それにしても、あの後ヤッターマンたちはどうやって帰ったのでしょうか。旧作ではファンファーレメカにワンの残骸を引っ張らせて帰りましたが、映画ではファンファーレメカも一緒に壊れており、ペリカンもアンコウも完成してないのにどうやって帰ったのか非常に気になります。

それと、最初にドクロベエの素顔(海江田博士憑依版)が現れた時、どこかで見たことあるなあと思ったのですが、アダムス・ファミリーに登場したフォスターおじさんと同じでした。壁に吸い込まれるシーンもどこかで見たことあるなあと思ったら、クロック・タワー2のラストと同じでした。それまでオリジナリティ全開のストーリーが続いていたのに、最後になって展開がスローペースになり、どこかで見たシーンばかり連続して、少し興奮が冷めました。特に海江田親子の三文芝居が酷かった……。ただ、ドロンボーの解散するシーン、及び月明かりを背に走り去るヤッターマンのシーンが原作最終回と同じだったり、エンディング後のおまけで実写映画第2弾が予告されたも同然だったので、最後の最後でもう一度興奮できました。

 

 

*おまけ・姪1号(6歳)と姪2号(4歳)の感想

・ ジャンボパチンコが面白かった。

・ 櫻井翔くんがすっごくカッコよかった。

・ メカとメカがチューしてたところが面白かった。

(姪はヤッターマンの歌や天才ドロンボーを歌い、ヤッターマンごっこや勝利のポーズで遊んだりしています。新ヤッターマンが子供に大人気という話は本当でした。)


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