ヤッターマン最終回


第108話「アワテルローの戦いだコロン」

脚本:山本優

演出:八尋旭、岩田弘


いつものようにインチキ商売の準備を終わらせたボヤッキーとトンズラー。ところがドロンジョだけは、いつになく元気が無かった。彼女はボヤッキーを近くに呼び寄せると、「こんな商売嫌になったんだよ」と話し始めた。

ドロンジョ「毎度お騒がせな指令を受けて、ヤッターマンにやっつけられて、真っ白きモチ肌さらされて、青春も乙女心も犠牲にして、その挙げ句オシオキとくる。あーん、もうこんな生活イヤ」

ボヤッキー「ドロンコ、おめえまさか、ヤッターマンのあの目にいかれて!?」

ドロンジョ「馬鹿お言いじゃないよ、何であんな青二才、カッコ付け、なに光、あれなんだい」

トンズラー「ほな、なにゆえ?」

ドロンジョ「もう、つくづく嫌になったんだよ。 (といいながら、本当はヤッターマンの、ピカッと光るあの目に、悪の心が洗われてきたのよ。ああ、ヤッターマン………)。 ボヤッキーどうだろ、今日からお前がボスになっておくれよ?」

ボヤッキー「とんでもないドロンジョさま」

ドロンジョ「じゃあ、来週からってのはどうだい、えっ?」

ボヤッキー「ドロンジョさま、本気でそんな事おっしゃるんですか?」

ドロンジョ「ああ本当だとも。トンズラーだっていいんだよ」

トンズラー「は、はいはい」

ボヤッキー「いやいやいや、そういう事は私の方がいいと思います、やります、やらせて頂きます。来週から私が、ボスをやります」

ドロンジョ「そうかい、それであたしも安心」

ボヤッキー「で、ドロンジョさまは?」

ドロンジョ「あ、あたし? 寂れた静かな田舎に旅行にでも行こうかしら。そして汚れた心を洗い落し、新しい人生を生きるんだわ。ああ、まだ青春を取り戻せる、あたしだって人を愛する事ができる。ヤッターマン………」

ボヤッキー「な、今なんて言った!?」

ドロンジョ「ん? ああ、『ヤッター』って、お前がボスになる事に対して、喜びの声がほとばしり出ちゃった。とにかく来週からお前がボスだよ、いいね」

ボヤッキー「はい、感激です」

ドロンジョ「じゃ、最後の出番、張り切っていこうか」

ボヤッキー「はい、ドロンジョさま。 ぼやっとするな、来週から俺がボスだ!」

 

というわけで、ようやくインチキ商売をはじめたドロンボーの三人。儲けたお金でメカを組み立てると、ドクロベエから最後の指令が下された。三人は指令に従い、ブランス国の皇帝、チビレオンの持つ辞書を手に入れるため、アワテルローの草原に出発した。また、その情報をスパイしたガンちゃんとアイちゃんも、同じくヤッターマンに変身して出撃した。

 

ヤッターマンは、武器商人のダーマスの悪行を暴き、チビレオン皇帝とカイリントン将軍の戦争を終わらせる事に成功した。しかしチビレオンの持っていた辞書は、すでにドロンボーの手に渡っていた。

ドロンジョが辞書でドクロストーンのありかを調べてみると、それはアワテルロー博物館の床の下にある、と書いてあった。三人は早速そこへ向かおうとしたのだが、そこへヤッターマンがやってきた。ヤッターマンは今までに登場したヤッターメカ(ワン以外)を全て登場させ、ドロンボーのメカ「ブックタンク」を楽々破壊した。

 

それでも何とか博物館にたどり着いた三人組。するとそこには………。

ボヤッキー「お前は、何奴!」

ドクロベエ「ははははは、完成じゃ完成じゃ、ドクロストーンはついに完成じゃ」

ドロンジョ「何と、そのお声はドクロベエさま!?」

ドクロベエ「はははは、ご苦労だったな。灯台下暗しということがあるが、我輩の、そう、この我輩の住んでいた所に、最後の1ケがあっただなんて、我輩もたった今知った所だべ」

ドロンジョ「ええっ? じゃあここが、ドクロベエさまの司令室………」

ドクロベエ「そうだべ。見られ美しき我輩の姿を!」

ドロンジョ「我輩の姿って、そのドクロストーンが?」

ドクロベエ「そうじゃ、この姿は仮の姿だべ。ただのロボットだべ」

ドロンジョ「じゃあ、目の中を覗くと、大金塊のありかが分かるというのは……?」

ドクロベエ「覗くな! 覗いても何も無い。あれは欲深い地球人を利用する嘘だべ。ははは、おまえ達はただ利用させてもらっただけの事だべ。はるかなる昔の事だべ、我輩は宇宙を旅行していたのだ。ところがその時、誕生したての地球の爆発に巻き込まれ、我輩はバラバラに飛び散り、地球のいずこかへ別れて消えてしまっただべ。それから45億年、我輩はもとの姿に戻れただべ。ドクロストーンとは我輩、つまりドクロベエそのものだったのだべ。そしてその実体は、ドクロ惑星XYZ星人だべ!」

アイ「宇宙人!?」

ガン「そ、そんな………」

ドクロベエ「それでは諸君、なごりは尽きぬが さらばだべ、さらばだべ………」

 

こうして、ドクロベエことドクロストーンは宇宙に帰って行った。一方、目標を失ったドロンボーは解散し、それぞれ新たな道を歩き始めたのであった………。


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