ヤットデタマン最終回


第52話「甦れ!ナンダーラ王国」

脚本:小山高生

演出:鴫野彰


16世紀のヨーロッパより帰ってきたジュジャクは、ナンダーラ王国にある霊山スーザへとやってきた。するとそこには仮面をつけた謎の人物がいて、ジュジャクの帰りを待っていたのであった。そしてその人物は、戻ってきたジュジャクに、カレン姫とミレンジョ姫をここに連れてくるように命令した。

一方、ジュジャクを追いかけてナンダーラにやってきたミレンジョ姫とカレン姫は、ジュジャクが霊山スーザの中に入っていくのを見て、その後を追いかけていった。入り口は岩で塞がれていたのだが、ドンファンファン伯爵とダイゴロンが合い言葉を知っていたので中に入る事ができた。

スーザの中は、外見からは想像もつかないほどの近代設備に囲まれていた。ミレンジョ姫は中にいたジュジャクを捕まえようとするのだが、そこに例の謎の人物が現れた。また、そこにカレン姫達もようやく辿り着いた。

???「これで全員集合したな」

カレン姫「一体あなたはどなたなんですか? なぜここに?」

???「わしはジュジャクを操る謎の人物じゃよ」

カレン姫「ジュジャクを操る? 何のために?」

???「ナンダーラにふさわしい国王を選ぶためじゃ。カレン姫、ジュジャクを追いかけて色々な事が学べたのではないかな?」

カレン姫「はい……」

???「あれもみな、このわしがそなた達に試練を与えるため仕組んだのじゃ。身も心も成長してもらいたくてな」

ワタル「そうだったんスか……」

???「ナンダーラの国ができてからもう千年以上も経つが、国王は皆、このわしの試練を乗り越えた者達であった」

ワタル「千年以上!? ということは、あなたは千年以上生きてるってわけっスか?」

???「うむ」

カレン姫「あなたはスーザに住む神様なのですね!」

???「はっはっはっは、神と呼びたければ呼べばよい」

コケマツ「やいやいやい、もったいつけちゃってくれちゃって。小生にはな、お前の正体はお見通しだ。それ、コケッとな」

(コケマツは、マジックハンドでその人物のマントと仮面をつかんだ。)

コケマツ「お前はドンファンファンだ!」

ところがそこに現れたのは、竹馬をつけたみすぼらしい老人(ダーラ)であった。実はこの老人、第30話でカレン姫とミレンジョ姫に、「おめぐみを……」と言って登場していた。この時カレン姫はお金を恵んであげたのだが、コケマツはお金を恵まず反対に、「税金の前払いだ」と言って取り上げていた。ミレンジョとコケマツはその事でケンカを始めたのだが、するとそこに、ドンファンファン伯爵が現れた。実はダイゴロンとドンファンファン伯爵はダーラの命令で、お目付け役として双方に派遣されていたのであった。

ダーラ「さて、残る問題はどちらが王位を継ぐかじゃが……」

と、ここでミレンジョ姫が強行手段に出た。ミレンジョがジュジャクを力ずくで押え込むと、コケマツがレーザーガンでカレン姫達を脅しつけた。

ミレンジョ姫「ジュジャクはわらわが捕まえた。コマロが新国王じゃ。わっはっはっはっは………」

 

こうして、ジュジャクはミレンジョ姫の手に落ちた。ジュジャクを無理矢理足かせで捕まえたまま、いよいよコマロ王子の戴冠式が行われる事になった。ところが、コマロが王冠をかぶる直前にジュジャクは脱走し、密かに様子を見に来ていたカレン姫の肩にとまった。ジュジャクはカレン姫の口を借りて、

「心悪しき者がナンダーラの王位についた時、ナンダーラを天変地異が襲うであろう。信ずる者達よ、ただちにスーザに避難せよ。信ずるものは救われる!」

と、語りかけた。人々はその言葉を聞いて、慌てて宮殿から逃げ出した。ミレンジョ姫は、宮殿に残った者には金塊を授ける、と言ったのだが、ドンファンファン伯爵以外、誰一人としてそこに残る者はいなかった。

やがて、予言通りにナンダーラを天変地異が襲った。カレン姫達はスーザに避難する途中、倒れてきた巨大な岩柱によって閉じ込められてしまい、身動きが取れなくなってしまう。運良く難を逃れたワタルはヤットデタマンに変身、大巨神を呼び出した。大巨神は力を振り絞り岩柱を持ち上げ、火山の火口に突き刺した。そして、天変地異はようやく収まった。

ミレンジョ姫はコマロをナンダーラの王位につかせることをあきらめ、新天地を求めて旅に出た。一方カレン姫は、ダーラが見届け人となりナンダーラの新国王になった。

ダーラ「はかないものよ、天変地異の前には人間の力など無力なもの。カレン姫、そなたが先頭に立って もう一度ナンダーラを作り直すのじゃ。善なる者こそが幸せになれる真の王国を。金や物ではできんぞ、ココロじゃ!」

そして、子孫の立派な姿を見たワタルとコヨミは、将来結婚する事を決意したのであった……。


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