怪盗きらめきマン最終回


第25話「お手柄刑事トリオ」

脚本:小山高生

演出:長沢剛

 

第26話「ゴールドアイみっけ」

脚本:小山高生

演出:うえだひでひと


なんと花の刑事トリオが、きらめきマン逮捕に成功した。最新鋭対人捕獲設備のチイパッパーが効力を発し、きらめきマンはついに捕らえられたのである。大喜びの3人は、凱旋パレード、記者会見と大忙し。しかし、実はこれは、3人の黒幕を調べるためにパフが計画した事で、わざと捕まっただけであった。刑事トリオの巨大メカの資金源(彼等の給料だけで毎週新しいメカを作れるはずがない)、それに第21話において彼等が使用したアバキ銃の存在(この時代の技術で作れる代物ではない)が、パフに黒幕の存在を気付かせたのだ。パフは取調べの最中に、ヒエールとオンドレーをおだてて、ドグリンなる人物の存在を聞き出した。やはりパフの予想通り、彼等には黒幕がいたのだ。

その夜、ルージュ達はきらめきマン逮捕を祝して、3人だけで祝賀会を開いていた。するとその場にドグリンが現れ、「きらめきマンを逮捕したもんで浮かれるのはしゃーないとして、ヒエール、お前はこれからドンドン偉くなるだドグ。そうだな、署長ぐらいまでは偉くなるドグよ」と、なぜかヒエールにだけ労いの言葉を掛ける。それを聞いたルージュとオンドレーは不機嫌になるが、対照的に上機嫌となったヒエールは、ドグリンにも酒を勧め、共に勝利の美酒を飲み始めた。その時、ヒエールの携帯電話が鳴り、メトロから「被害届けが一件も出てない」という理由で、きらめきマンが釈放された事が伝えられた。メトロ曰く、きらめきマンを逮捕するには、現行犯で逮捕するしかないというのだ(冒頭で現行犯で逮捕したはずでは?)。それを知ったドグリンは激怒。「次の手を打つドグ」とルージュ達に宣言した。

一方、釈放されたリップとパフは自宅に戻っていた。パフはパソコンを通じて、未来世界にいる祖父のリキッド博士に、ドグリンなる人物の心当りを聞いてみた。すると博士は、そのドグリンとは、ドック・リンゴという500年後の未来で超有名な泥棒の息のかかった人物なのではないか、と推測した。実はドック・リンゴこそ、リキッド博士の大事な物を盗み出し、それをゴールドアイの中に入れて500年前(現代)のオーグオン・シティに捨ててきた張本人だったのだ。しかし、なぜきらめきマンを逮捕させようとしているのか、その理由が分からない。リキッド博士によると、あと2日以内にゴールドアイが見つからないと大変なことになってしまうという。しかし博士にはもう、ゴールドアイを探す手掛かりは何も残されていなかった。博士はリップが六代前の先祖にあたることを明かすと、今まで迷惑をかけてきたことを詫びた。

その翌日、花の刑事トリオは捜査ス課に逆戻りとなり、そこでダラダラと過ごしていた。そこにドグリンから指令が届き、「ヒエール、お前に最後のチャンスをやるドグ。きらめきマンにメールを送っておいた。間もなく予告状が届くドグ。もう一度きらめきマンを捕まえて偉くなるドグ」と、なぜかヒエールにだけ指令が与えられた。間もなくドグリンの予告した通り、きらめきマンから『明日午後3時、ジュテーム署の遺失物係にあるゴールドアイを頂く。怪盗きらめきマン』と予告状が届いた。署員総出で遺失物係を捜索してみると、予告状に描かれていたものとそっくりの物体が届けられていた。実はその物体は、ヒエールが4月5日に道端で拾って、遺失物としてジュテーム所に届けていた物であった。確認したところ、拾得してから明日でちょうど半年となるので、明日落とし主が現れなければ、ヒエールの物になるという。このゴールドアイを囮に使い、怪盗きらめきマンを逮捕しようということになった。

そして翌朝。ついに運命の日を迎えた。リップとパフは偵察のため、変装してジュテーム署の遺失物係に行き、係員にゴールドアイの所在を聞いてみた。するとそれは、届け主のヒエール刑事が持っているという。パフはヒエールに電話をかけると、ドグリンからの伝言だと嘘をついて、3時にオーグオンシティランドの観覧車の下にゴールドアイを持ってくるように指示した。指定の時間に花の刑事トリオが観覧車の下に行ってみると、そこに現れたのは怪盗きらめきマンだった。しかし刑事トリオは、その電話が偽の指令であることを見抜いていたため、すぐにワンダーブルを呼び出してのメカ戦となった。きらめきマンの操るトッタルニャンと、花の刑事トリオの操る いないいないネコババの戦いは、途中トッタルぶくろうとドック・リンゴの参戦もあったが、最終的にきらめきマンに軍配が上がり、きらめきマンはゴールドアイの入手に成功した。

 

家に帰り鑑定してみると、それは本物のゴールドアイに間違いなかった。大喜びの2人+1体の前に、突如リキッド博士が現れた。博士はマスカラ(リップの母)に事情を話し、自宅で2人の帰りを待っていたのだ。ゴールドアイの入手に喜ぶ博士に、リップはゴールドアイの正体は何かと尋ねてみた。するとゴールドアイが割れ、中から一体のぬいぐるみが現れた。

リップ「キラリン?」

博士「そう、わしゃ子供の頃からキラリンを抱いて寝ないと眠れないんじゃよ」

リップ&パフ「……………」

キラメール「それで目の下にクマができてたのか。なんだかなあ」

博士「まあそういうな」

マスカラ「トニックおじいちゃん(マスカラの祖父で、リキッド博士にそっくりな姿をしている)もそうだったわ、ほら」

リップ「あ、本当だ。……あれ、じゃあ500年後の世界が大変なことになるって?」

博士「ああ、そりゃワシが毎晩眠れなかったら、国際科学警察庁長官の仕事ができなくなって……」

パフ「500年後の世界が悪人だらけになってしまう、ってか」

リップ「えーっ、それって屁理屈じゃん」

博士「ひいひいひいひいおばあちゃん、許してくだされ」

 

一方その頃、花の刑事トリオはメトロからクビを言い渡されていた。署内から追い出された3人の前に、ドック・リンゴが現れた。実はドック・リンゴは、メカ戦の助っ人として現れた際に、乗ってきたタイムマシンが壊れてしまったため、500年後の未来に帰ることができなくなってしまったのだ。ドック・リンゴは3人に、一緒に組んで超一流の大泥棒にならないかと提案した。

ヒエール「でもなあ、いきなり警官から泥棒はなあ、抵抗ありますなあ」

ルージュ「でもさあ、可愛い悪役に戻ろっか。善玉はちょっと肩が」

オンドレー「カッチンコッチンにこっちゃいましたもんね」

ドック・リンゴ「ほだねほだねほだね、ほんなら乾杯だがね、はい乾杯」

ヒエール「あ、どうもどうも」

ルージュ「何でも出てきちゃうんですね、ウフフ」

ドック・リンゴ「そだよ。超一流の泥棒は、超一流のマジシャンでもあるだよ」

ヒエール「七代後の子孫よ、結局あんたが自分で泥棒になる種蒔いて、自分で刈ることになったんじゃないの、ね?」

ドック・リンゴ「えっ?」

ルージュ「そうよ。あなたが500年前に、おちょっかい出さなければ、あたし達警察クビにならないで済んだのに」

ドック・リンゴ「まあそういうことになるきゃーもな、もう。ハッハッハッハッハッ……」

ドック・リンゴは、国際科学警察庁長官になるのが子供の頃からの夢だったのだが、どこをどう間違えたのか立派な大泥棒になってしまった。これは一体誰のせいなのかと超スーパーコンピュータで調べに調べたところ、7代前の先祖ヒエールが窓際刑事だったためだと分かった。そこでドック・リンゴは、ヒエールが優秀な刑事だったら自分は大泥棒の身の上にならなかったと考えて、過去に干渉して自分の境遇を変えてしまおうと決意した。リキッド博士の大事な物を盗み出したのも、それをゴールドアイの中に入れて捨ててきたのも、ドグリンを派遣してスポンサーになったのも、全てはきらめきマンを逮捕させて花形刑事トリオに変身してもらうためだったのだ。しかし、結局はそれが原因でヒエールは警察をクビになってしまった。自業自得、全ては己が蒔いた種だったのだ。

 

怪盗きらめきマンとしての使命を終えたパフは未来世界に戻り、平和な日常を堪能していた。するとそこにタイムマシンが現れ、中からリップが降りてきた。元スカ刑事トリオとドック・リンゴが手を組んで、悪いことばかりしているというのだ。リップの提案により、今度は きらめき刑事ポリデッカーに変身して、彼等と戦うことになった。怪盗から刑事、追われる側から追う側に立場を変え、2人の戦いの日々はまだまだ続くのであった。


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